コクレンシルエット画像
中国四大家魚のうち、もうひとつの巨大魚。
今や、アオウオが現実とすれば、まさに幻中の幻。
70キロ、150センチを越えるといわれるその巨体。
日本の淡水大魚ファン究極のターゲットにいつか会いたい・・・

*昭和41年12月、北浦宇崎にて網に入った140cm、50kg。埼玉水試にホルマリン保存されている。
もしも、こんなヤツを釣ったら、どうするか?やはり黙って横に寝そべるしかないだろう・・・。
この写真が、私にとってのコクレンの原風景であり、四半世紀も脳裏から離れない。
畏敬の溜息と妄想は、もはや偶像崇拝にも似て。涅槃で待つ・・・
コクレンのプロフィール

さいたま水族館

さいたま水族館

東京水産大学HPより標本)

さいたま水族館の水槽にて


コクレン
 


コイ目 コイ科 アブラミス亜科 コクレン属

【和名】コクレン 

 【中国名】(ヨウ)=魚へんに庸 、大頭、花


 【英名】 Big head carp(ビッグヘッドカープ)

 【学名】: Aristichthys nobilis


 ●国内では利根川水系のみにて天然繁殖するが、その数は極めて少ない。
  ハクレンとの比率は凡そ1000分の1位の割合といわれ、青魚をはるか凌ぐ「幻の魚」である。



 ●ハクレンによく似るが、体色がハクレンは銀白色なのに対し、
コクレンは黒味があり、黒い雲状の班が見られる。
腹の部分の隆起縁が腹鰭の位置よりも後の方に有る。


  英名bighead、中国では「大頭魚(連)」とも呼ばれるように、
頭と口が大きく幅もあり、上から見るとナマズのような形をしている。

コクレンとハクレンの比較写真はこちら(C)大鯉研究所



 ●食性はハクレン同様のプランクトンイーターだが、
植物性プランクトンを好むハクレンに対して、コクレンは動物性のプランクトン。


 ●最大1.8メートル程度まで成長するといわれる。
確認されている国内最大記録は、体長150p・体重70kg。
  (昭和55年(1980年)十二月、霞ヶ浦東岸、
茨城県麻生町西浜で高須水吉氏が仕掛けた網にはいったもの)


 ●中国ではハクレンよりも美味として珍重される。(特に頭が珍重される)

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その食味ゆえ、台湾に移植されているものはほとんどがコクレンである。
*台湾風沙鍋魚頭

埼玉県水産支所(旧埼玉県水産試験場)の資料室には上の写真の140cm、50キロの
コクレンがホルマリン標本となっている。とてつもない迫力。2002年5月に訪問。(クリックで拡大します)

実物は圧巻

この体高!

寝てみたい。

寝てみたい。

メロンが入りそう
日本では幻の釣り

その食性から、ハクレン同様、練りエサでのウキ釣りが基準となると思われますが、
その数のあまりの少なさから専門に狙える魚ではなく、
現在のところ国内で釣り上げたという正確な記録はほとんどありません。
(釣ったという話も、実際はハクレンと混同されているものが多いようです)


確認されているほぼ唯一のものとしては、
愛知県の高橋富士夫さんが、横利根で、1988年に釣り上げた1m8センチ。
ハクレン狙いの遊動ウキ釣りをしていて釣り上げたものです。
(高橋さんのホームページ「大鯉研究所」淡水大魚釣りへの招待参照)




ハクレンとの比較写真はこちら。
アタマと口の形をご覧ください。
台湾のコクレン事情

台湾ではおびただしい数のレンギョが大陸から移植されています。
しかも、その美味から、ほとんどがコクレンです。
レンギョといえばコクレンですから、庶民的な魚。幻でもなんでもありません。


釣りの対象としては、コイ釣りよりもはるかにポピュラーで、
やはりアオウオと並ぶ人気魚。専用の釣り具や釣技があります。
(ただし、小西さんの開発したウキ釣りのような繊細な釣技ではなく、
かかってくるのを待つという鷹揚な釣りです。)


台湾南部の野池で釣り上げられた53台斤(約32Kg)のコクレン。
全長は不明だが、120cmはあると思われる。


【仕掛けは覇王針】

プランクトンイーターの習性をたくみに利用し、
自動的に針掛かりさせる、伝統的な仕掛け。
【釣り場は水庫】

台湾では各地のダム湖に放流されています。





日本の鯉の吸いこみ針と同様の発想の「覇王針」という仕掛けが市販されています。数タイプあるようですが、
ワイヤーを組み合わせ、中央にラセンまたはカゴ状の金属ワク、周囲に10〜12本のナイロンハリスがぶらさがります。


エサは専用エサも市販されています。↓


(私が訪台時に購入した「覇王針」と「大連魚」)






 

その他、タイやマレーシアなど熱帯の東南アジア各国にも移植されています。
(タイのバンコックのブンサムラン湖にて)
アメリカでの現状〜羨ましくも、残念な偏見。
Bighead Carp in U.S.A

アメリカのミシシッピ川や五大湖周辺でも1990年代から中国四大家魚が天然繁殖中。アオウオとコクレンが多いというから羨ましい。北米大陸の大河の成育環境がよほど適しているのだろう。
ただ残念なことにアジアの新顔への偏見と風当たりは強い。
その巨体と繁殖力ゆえ生態系への脅威論がさかんで、
ネガティブな外来魚のイメージが形成されつつあるようだ。
イリノイ、ミズーリなどの州では移植放流が厳しく規制されている。
特にコクレンのルックスはアメリカ人の潜在的な差別意識を抱かせるのかもしれない。しかし、いつかはスポーツフィッシングの対象魚として脚光を浴びる日が来るだろう・・・
コクレンを飼う

ハクレンとは対極で、これはかなりマニアックな世界、情報も多くはない。
釣りに直結するかはいささか不明だが、食性やその姿態・形状を知るのにいい。釣りの憧れ・思い入れを抜きに、鑑賞魚としても一級品だ。ハクレンの白銀のような美しさはないが、観察しているとその立体的な造形は見る角度によって表情を変えて味わいぶかく、その希少性もあって中国系淡水魚マニアにはたまらないと思う。


2002年冬、運良く約30cmのコクレンを入手することができたので、アオウオ3匹と同じ水槽に入れた。エサは市販のものをこれから研究しようと思う。(ここまで育てるのに、大きな池でエサはミジンコを与えていたらしい。)私は以前、市販のフィンフレーク状のもので15cmほどの稚魚を2回飼育したことがあるが、水質・水温変化に敏感なためかここまで育てられなかった。

(以下は2002年1/26撮影。すべてクリックで大きくみられます。)

ヘラブナばりの体高の魚体は褐色っぽく、雲状斑がくっきり出ている。頭はデカイ。
口の大きさがハクレンのおちょぼ口とは違い、角度によりふてぶてしい印象すら漂う。
頭部の形状に注目。(頭部の尖ったアオウオと並べるとよくわかる。)
本場中国より 
これは珍しいアルビノのコクレン。
138cm、36.5kg。その大きさも立派。
中国広東省の高州ダムにて捕獲。
人民日報2001年3月22日
コクレン倶楽部管理人より
青魚以上の究極の幻の魚、コクレンをいつか日本で釣るのが夢です。
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